08から継続されるΣシェイプであるが、08のHELIXとはかなり内容が異なる。08モデルでは、どちらかと言えばそれまでのボウタイプであるショックウエイブの延長上にあったようなカイトであるが、09モデルではΣカイト独特の性能を特化させたような内容になっている。

カイト側のプーリーは排除され、08モデルの初期にはあったバー側のプーリーも、09モデルでは排除された。これによりボウカイトではありながら、かなりシンプルな構造となった。肝心な性能であるが、いわゆるボウカイトのそれとはかなり違いCカイトの性能に近く感じる。でありつつ、ボウ独特の風域の広さは充分に持ち合わせていて、アンダーにもオーバーにも強い。

特徴的なのは、ハンドリングと回転性能。例えば12mのサイズでは、それまでの9mのようなハンドリングの軽さと回転性能を持ち合わせている。とは言っても、9や7のサイズを使った時に、動きが早すぎてしまうような神経質さはない。Σカイトを使うまでは、私は基本的に、7/9/12/16前後のサイズで計4枚のカイトを使用していたが、今年のモデルでは、7/9/12の3サイズで充分な気がした。勿論ボードがサーフ系という浮力のあるものを使うようになった点は無視できないことではあるが、それでも、サーフ系のボードを使う時とTHORNを使う時とでカイトサイズは変更していない。ボードの浮力の差はカイトの性能で乗り切れてしまう。風域の広さはガスティーコンディションをものともしないが、それなりのカイトコントロールは必要である。バーの可動域(手前に引く、奥に押す・・オンパワー、デパワー)を上手く使いこなせれば無敵のカイトである。オンパワーでもデパワー状態でも、ハンドリングに差は感じず、思いのままに動く。

リランチ性能は非常に高く、Σという形状から水の上だけでなく、陸でも落ちたカイトを簡単に返す(起こす)事ができる。雪の上では使った事がないが雪の上でも簡単であろうと想像できる。この性能により、ラインに問題がない限りは100%近い確率でリランチが可能。カイトを落とすことにたいする不安はかなり軽減されている。

アップウインド性能は非常に高いと感じる。アップウインドに関しては、カイトの性能だけでなくボードの性能やスキルもかなり大きく影響するので一概にカイトの性能だけでは語れない部分もあるのだが、カイトにパワーを極力長く入れておけるスキルがあるのであれば、そうとうにアップさせる事ができるはずである。これによって、大会やウエイブライドでいち早くポジション復帰が可能になるはずである。

エアー性能に関しては、09HELIXはエアー性能にこだわっただけの事はあり、とにかく高く長く飛ぶ。エアー後バーを引き込んでいれば、最も高く長く飛ぶし、デパワーさせれば、着地に向う。現在は複雑なトリックやウエイブがカイトサーフィンの中心となっているが、このスポーツ独特の「Big Air」は捨てがたい魅力がある。これを以前のようなスキルを必要とせずに、味わえるカイトではないかと思う。

08からサーフラインを充実させてきているNAISHであるが、09モデルでは更にラインナップを増やし各スタイルに対応してきている。フィンセッティングは08モデルではツインが1モデルクアッドが1モデルあったがそれ以外はトライ。09ではCUSTOM GUNを除いて、全てがクアッドのセットになった。

全てのモデルにおいて、レールは薄くなり作りは重厚になった。よりカイト向きのチューンになり、所有に満足度が上がったと言える。

肝心の性能であるが、08モデルに比べて薄くし浮力を落とした分、オーバーパワーや荒れた海面に強くなった。乗り味はGlobal/Fish/Gunの各モデルでかなり違ってくる。基本的にはサーフボードの形状による乗り味の違いと同じだと思って間違いない。

さて、私の所有するGUNであるが、唯一のトライフィン仕様ということでその乗り味は非常にサーフィンライク。より強い風域と大きい波に向く。サイド〜クロスオンの風向きで、頭以上の波サイズになったらこのボードが威力を発揮する。高速でもばたつかず、ボードを押さえる力はTHORNと比べても大きく違うとは思えないほどである。膝サイズの波やオンショアの風には08のフィッシュがフィットする。大きな浮力で、サーフィンのレトロフィッシュのように波に乗れ、しかもクイックに動ける。その変わりフィッシュは蹴り込むとルースする。

とにかく、これほどウエイブ系のボードが重事実しているブランドも少ないであろう。カービングのスタイルを追求したり、カイトサーフィンの基本をウエイブライディングに置くのであれば、是非乗って頂きたい。

THORNは最初の型から定評のあったボードだが、09では全てのクオリティーが底上げされている感じがする。ツインチップのボードの場合、レールは極めて薄いので楽に海面にくいつくのだが、逆にレールに対する反発が少なく(サーフ系ボードに比べて)、繊細なフィーリングが伝わってきにくい部分がある。THORNはここらあたりが実に伝わり易いボードだと感じる。走る、曲がる、止まるが実に快適。以前のTHORNはかなり固い印象があったが、09はソフトイメージ。ただふわふわ感はなく、柔らかいと感じる部分は、ボードの「反発」というものに変わっているようだ。これによりホップでの高さがまるで変わってくる。最近のトリックに合わせたセッティングなのだろう。

ツインチップのボードは浮力がない分風の強弱に影響され易い部分があるが、少なくとも私は今年のボードに関してはそれを全く感じない。普段サーフ系のボードに多く乗るが、THORNはそこからの違和感が非常に少ないボードである。今年は今までよりほんの少し長めをチョイスしたせいもあるが、面浮力を凄く感じ、アンダーに非常に強くなったように思う。それでいて、ボードをしっかりと立てた状態、つまりオーバー傾向の時にもしっかりと、楽にホールドしてくれる。やはりバランスがいいボードなのだろう。

かちっと食いつくボード、アンダーに強いボード、オーバーに強いボード、やたら反発が強いボード、いろいろ特徴があるのがボードだが、どれかに特化していまうと、トータルバランスは崩れてしまうもの。風や海面は非常に変化するものだから、やはりトータルにバランスされているボードが一番乗り易いのだと思う。